パート・バイトでセミリタイア:雇用契約更新のために知っておきたい!労働に関する法律の基礎知識

Published / by mimijiro

セミリタイアを機に始めたパート勤務。もうすぐ1年が経過します。

みみじろーは1年間の期間を定めて働く「有期契約労働者」かつ「パートタイム労働者(短時間労働者)」です。最近、いろいろな呼び方の雇用形態が出てきているので、わかりにくいですね。

パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者をいいます(パートタイム労働法では、「短時間労働者」といいます)。「パートタイマー」や「アルバイト」など、呼び方は異なっても、この条件を満たせばパートタイム労働法上のパートタイム労働者となります。
厚生労働省HP「さまざまな雇用形態」より引用

先日、初めて次年度に向けての「契約更新」をしました。
業務のために学んだ労働法関係の知識を、実体験を通して理解するいい経験になったのです。

今回は、契約更新のお話です。更新の際に気をつけること、知っておいて役に立った法律をご紹介します。


1. 契約更新される?されない?勝負は30日前!

みみじろーの契約期限は3月末日。契約更新の話があったのは1月中旬。かなり早めの更新手続きになりました。

ですが、世の中いろいろ。待てど暮らせど契約更新の話が来ない、気がついたら明日から新年度。私の契約どうなるの!?という会社に勤務していたこともありました。

そんな場合は、「期間満了の30日前までに雇い止めを言い渡されているか」が、契約更新されるかどうかの分かれ目になるようです。

使用者は、有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。
厚生労働省告示有期労働契約の締結、更新
及び雇止めに関する基準について
より引用

つまり、年度末更新の人は、2月末までに雇い止めを予告されなければ、「おそらく更新されるだろう」という見込みになるのですね。
契約更新しないまま、新年度に突入してしまっても大丈夫。民法629条で更新されたとみなされるようです。

(雇用の更新の推定等)
第629条 雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。(略)


2. 更新面談は上司としっかり話すチャンス!

今の職場は、ご丁寧なことに上司との契約更新面談が行われました。

契約更新の面談で、議題になるのは主に以下の2点。

2-1. 『今年度の感想』

上司からは、「みみじろーさんは応対が落ち着いているから、いつも安心して任せています」と声をかけていただきました。

問題があれば、「雇い止め」という結論にはならなくても、ヒアリングと注意程度は受けるでしょう。今回の評価は、「無難にやれているから、来年もこんな感じでよろしくね」ということかなと理解しました。

また、更新面談は職場での悩みがあれば、上司と直接話し合える数少ない機会です。会社によっては、パワハラやセクハラがないか確認する場合もあるようです。

みみじろーは、特に不満がないため「働きやすい職場でありがたいです。次年度は資格の勉強を始めて、スキルを向上させたいと思います。」とだけ伝えました。

面談が終わってから、「しまった!もう少し仕事増やして欲しいって言えばよかった!」と思い出しましたが、もう手遅れ。大した要望でもないので来年の面談用にとっておきます。

2-2. 『次期の契約条件について』

面接の中で、簡単に次年度の契約内容と、労働条件の確認がありました。

上司 「次年度も4月から1年間、今年度と同じ条件でお願いできますか。次回の更新が上限になります。」
みみ 「はい。よろしくお願いします。」

(民法)第623条 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

民法上は、労使の口約束で雇用契約が成立するようです。上司との簡単な受け答えが、契約の直結すると思うとなんだか緊張しますね。

場合によっては、担当替えや異動の打診もあるでしょう。
就業規則や契約内容に異動に関する定めがなければ、任期途中の異動は「契約条件と違う」とゴネてもいいのかもしれませんが(しないけど)、更新時に異動を打診された場合は「異動後の条件で契約するか、しないか」を選ぶことになるようです。

慎重に上司の話を聞いて、わからないことは心ゆくまで質問しておきたいものです。


3. 契約書類の提出:更新後の業務内容と条件は念のため確認を!

上記の通り、民法上は口頭で成立する雇用契約ですが、労働基準法と、パートタイム労働法では、会社が労働条件を明示するように定められています。

(労働条件の明示)
第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

就業規則に、「自動的に同条件で更新する」等と書かれていなければ、おそらく条件通知書を渡されて、契約書を取り交わすことになりそうです。

労働時間、業務内容、働く場所、更新の条件等、念のためよく確認しようと思います。

特に今年は、有期契約労働者(派遣社員、契約社員、アルバイト、パートすべて)を取り巻く環境が、大きく変わろうとしています。

平成24年8月に交付された「改正労働契約法」に基づき、H30年4月から、有期契約労働者の無期転換申し込みが本格化します。

無期転換ルールとは労働契約法の改正により、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールです。
厚生労働省 無期転換ポータルサイトより引用

更新回数の上限が2回のみみじろーには、まるで影響のない法改正ですが、パートでセミリタイアの身としては、見過ごせない内容です。

実際に、ハローワークの求人検索をすると、更新の条件に「更新回数は最大4回まで」と書かれた求人票が散見されます。

法改正の本来の目的は、有期契約労働者の雇用安定のためだと思うのですが、目的通りに作用する場合ばかりではなさそうです。
今後のパートの求人では、このような更新回数の制限が増えていくのかもしれません。

法律によって、就業規則や雇用条件が変更されるのはよくあることです。

みみじろーは、割と無頓着にハンコを押してしまいがちですが、せっかくパートタイマーとして更新するのですから、じっくり書類を観察しようと思います。


あとは契約書に署名捺印して提出すれば、無事に第1回目の契約更新は終了する予定です。

更新回数の上限までは、今の職場に何気なく居座るつもりでいましたが、契約更新の流れは想像以上に緊張するものでした。

みみじろーの雇われている事業が縮小するかもしれないし、今年で契約を打ち切られる可能性だって、もちろんゼロではないのです。

それでも、「有期」ならではの良さを感じることもできました。

この次は、有期契約で働くことのメリット・デメリットについて書いてみたいと思います。

>>> 無期転換する?しない?有期契約のメリットとデメリット