40代で早期退職・セミリタイアしたことを実家の家族に知らせない理由

Published / by mimijiro

みみじろーが40代でセミリタイア生活に入ったことを知っているのは、オットのこたぬきさんだけです。

両実家の家族や知人にも伝えていません。会う機会が少なく、言い出すタイミングを逸したままになっていました。

ですが、先日久しぶりに帰省した折に「わざわざ知らせなくてよかった。このままそっとしておこう」と気持ちをあらたにする出来事が発生したのです。


○ セミリタイアしたことを知らせても誰も幸せにならない!

実家は、典型的な高度成長期のサラリーマン家庭。父は団塊世代の元企業戦士、母は専業主婦、兄弟はそれぞれ大企業の中間管理職として社会人生活を送っています。

そんな家族が集まると、各々の仕事の近況を話題に盛り上がります。

  • 「中途採用の奴らは退職グセがあって使い物にならない」
  • 「60歳定年で辞める奴の気が知れない。再雇用なら社内をフラフラしているだけであと5年メシが食えるのに」
  • 「早期退職なんかしてもヒマを持て余して貧乏になるだけ。働ける幸せをわかっていない」
  • 「休日のゴルフや会社の飲み会を断るような奴は信用できない」…等々。

ステレオタイプな雑誌の見出しでも見ているようですが、話している当人たちは至って大真面目。

「自分たちの考えが正義、そこから外れる者の人生は破綻する」と信じていることが痛いほど伝わってきます。

この会話を聞きながら、先日書いたキャリア・アンカーの話を思い出していました。

キャリア・アンカーは「自分のキャリアに関するどうしても譲れない価値観」のこと。

親兄弟は、昇進が自分の価値になる「全般管理コンピタンス」か、組織に忠誠を誓い生涯の安定を求める「保証・安定」のどちらかのキャリア・アンカーに属していると思われます。

組織内で着実に出世することや、一企業で仕事人生を終えることが”絶対譲れない”と思っている人たちに、「セミリタイアしました。これからは好きなことをして幸せに生きていきます」などと伝えたらどうなるでしょうか。

「面白い冗談だね」と情報そのものを否定するか、理解のキャパオーバーによる突然の激怒か、怒涛の説得か。占い師じゃなくたって不幸な未来が予見できるというものです。

お互いに「あなたはそういう生き方なんだね。私はこっちの道を行くよ」と温かく見守ることができればいいのですが、価値観が違う人に「私の生き方を理解してほしい」と求めるのは押し付けがましいこと。

幸い、みみじろーが働いてもいなくても、今のところ身内・知人に何一つ影響はありません。

「互いの譲れない価値観を土足で踏み荒らすような真似はやめよう」と決心したのでした。


○ 一生知らせずにやり過ごすことができるのか!?

めったに会わない人々とはいえ、以下の理由から、リタイアしたことを一生(少なくとも定年まで)知らせずに済ますのは難しいでしょう。

  1. 「嘘も方便」にも限界がある。
  2. 親の介護等、事情ができた時に兄弟間でそれぞれの生活状況を話し合うことが予想される。
  3. 夫婦でアーリーリタイア後に地方移住したら、転居の理由を聞かれる。

(1の対処法)

自分からはあえて仕事の話に向かう流れを作らないようにします。仕事のことを聞かれても詳しく話す必要はありません。「うん、ぼちぼちだよ」と答えればいいのです。

(2と3の対処法)

おそらく夫婦でアーリーリタイアした時には、双方の身内に知らせる必要があるでしょう。その時のために、伝え方の工夫を考えています。

  • 知らせるタイミングが大事
    リタイアする前に漏らしたら「考え直せ」と押し問答になるのは明白。退職しても無難に生活が回っている事実があれば、不満でも「勝手にしろ」と思ってもらえるのではないでしょうか。そのためにもリタイア前の準備(主に資金面)が大事ですね。

  • 相手が受け入れやすい表現を考える
    「正確に理解してもらう」ことよりも「当たり障りなく現状を知らせる」ことが優先です。「リタイアしました」と直球勝負をする必要はありません。「個人事業主」とか「パートで主婦」とか、年配の人や企業戦士が少しでも親しみを持てる表現を模索しましょう。

  • リタイアしたことが歓迎される環境を整える
    リタイア後は、双方の実家サービスを”少しだけ”増やせれば、リタイアしたことが身内にとってのメリットと見てもらえるかもしれません。暇だと思われて何でも頼まれる可能性があるので、それなりに働いている「ふり」をすることも大事ですね。


人それぞれ価値観や生き方が異なるのは当たり前。生活を共にしているこたぬきさんとみみじろーが、偶然「夫婦でアーリーリタイア」という同じ目標にたどり着いたのは、ありえないほど幸運なのです。

その幸運に感謝を忘れず、二人でアーリーリタイアする日を夢見て進んでいきますよ。