セミリタイア直前の職場は離職率が高く、退職者が出るのは珍しいことではありませんでした。
当然、自分が退職する時にも「引き継ぎさえ済めば、代わりはどれだけでもいる」とばかりに、淡々と進むと信じていました。
ですが、退職が決まってからの2ヶ月間で、思った以上に職場の人々と自分の関係性が変化していったのです。
退職を伝えてから起きた人間関係の不思議な変化
1. どうして辞める人の連絡先を聞くのか?
業務で接点が多い人には、事前に辞めることを伝えました。その後に数人に「メアド教えて」と聞かれました。
「なんで今?この先連絡をとることも会うこともないよね…」と思いつつも一応連絡先を交換しましたが、案の定音沙汰なしです。
社交辞令だったのでしょうか?それも違う気がします。
人は、価値があるかどうかにかかわらず「何かを失う」ことを不安に感じるのかもしれません。「連絡先交換」という保険をかけておき、いざ失っても困らないことがわかって初めて、安心して忘れられるのでしょう。
2. 辞める理由を勝手に推測するのは何故?
辞めることを話した時に、多くの人が「えっ…なんで!?」驚いた後に「いやまあ辞めるよね」と勝手に納得。それぞれ職場に対して思うことがあるのでしょう。
離職率の高い職場だからこそ、退職のときにあえて正直な理由は言いません。納得できない建前の理由を聞かされるよりも、残される人にとって各々納得できる理由であることの方が重要だと気が付きました。
余計な言葉はいりません。ただ見つめ合えばいいのです。
3. 周りの人が急に親切になった!?
退職が決まってから、業務で関連する担当者以外には、特に退職の話はしませんでした。あえてアピールすることでもないし、小さな事務所なので何となく伝播するものと思い込んでいたのです。
なので周囲の対応が急変したわけではありませんが、強面で少し苦手だと思っていた他部署の役職者たちが目を合わせてくれることが増え、コミュニケーションが取りやすくなりました。
「辞めるから気を遣ってくれているのかな?いい人達だなあ」と思いながら迎えた退職の日。その人達に挨拶をしたら「えっ!?辞めるの!?聞いてないよ!」と、驚かれました。
驚いたのはこっちです。役職同士で事務所内の人事ぐらい共有しましょうよ!!というか、じゃあ何で急に親切だったんですか!?エスパー!?
…たぶん変わったのは自分の方です。普段仕事で関わる機会が少ないこともあり、苦手意識からコミュニケーションを避けていたのでしょう。
退職をが決まったことで、肩の力を抜いて接するようになっていたのかもしれません。自分の認識一つで人間関係が大きく変わることを実感しました。
このとき、「退職」という出来事を通して、今後の人付き合いに活かせそうな新鮮な経験ができた、と喜んでいたみみじろーは知る由もなかったのです。
退職前に連絡先を聞かれたものの「音沙汰なし」と油断していた退職半年後。後任の担当者から世にも恐ろしいメールがきて、労働相談に駆け込むことになろうとは…。
そのお話はこちら