前回、みみじろーが40代で歯列矯正を決心するまでの紆余曲折について書きました。(前回記事はコチラ)
今回は、「矯正歯科」と「一般歯科」をそれぞれ受診してわかった、歯列矯正をするときのリスクと、矯正を始める前の注意事項のお話です。
1. 矯正歯科で聞いたこと
歯列矯正は、まず矯正歯科の「矯正相談」から始まりました。申し込みのメールで、相談事項として書いたことは以下の3つ。
- 八重歯があり前歯が前後に入り組んでいるが、インビザライン(マウスピース)矯正ができるか相談したい
- 治療後の歯が多いので、矯正ができるか心配
- 中高年から歯列矯正をするリスクについて知りたい
日程調整し、矯正相談と検査を2日間に分けて行うことになりました。
1 – 1. インビザラインで八重歯(叢生)は治りますか?
最初の相談で、歯並びの写真を撮り先生に診てもらいました。先生からは、「たぶん抜歯は必要でしょうが、インビザラインで対応できますよ。」とのお墨付きでした。
実際の治療では、八重歯の後ろを抜歯して隙間を作る → 歯の表面に突起物(アタッチメント)をつける → 「ゴムかけ」で八重歯を後ろに引く、の順番。今は抜歯の隙間がほぼなくなり、綺麗に並びつつあります。
>>> インビザラインで歯列矯正 アタッチメント編
>>> インビザラインで歯列矯正 「ゴムかけ」が始まりました
1 – 2. 治療後の歯がすごく多いのですが大丈夫ですか?
奥歯はほとんど神経を抜いています。さらに上下6本ずつ、計12本の歯が金属のかぶせ物に覆われています。
レントゲンで全体を確認した先生は「治療は終わっていますね。矯正は問題ありませんよ」と快いお返事。金属のかぶせ物にはアタッチメントがつけられないため、金属の外側(頰側:きょうそく)をアタッチメントをつけられるような樹脂で覆うことになりました。
1 – 3. 中高年でも大丈夫ですか?
矯正コーディネーターさんによると、歯や歯茎の状態が悪くなければ年齢はほとんど問題にならないそうです。
一般には「大人になると骨が固まって歯を動かしにくい」と言われているようですが、オルソパルス(加速装置)使用しているため、一般的な歯列矯正よりも大幅に早いスピードで進んでいます。
>>> インビザラインで歯列矯正〜オルソパルスの効果は世界一!?
1 – 4. 接客業ですけど支障はありませんか?
「アライナーはほとんど目立ちません。最初のうちは少し話しにくいかもしれませんが、すぐ慣れますよ」との説明でした。
実際は、ゴムかけやアライナーの安定のためにアタッチメントをつけるので、表面の凸凹が少し目立ちます。口元をよく見ていれば「あれ?」と思う程度です。
あと、笑ったときに八重歯にかけたゴムが見えてしまいます。なまじアライナーが目立たないだけに、矯正と気づいていない人は「なにその白い線?」と不審に思うかもしれません。(今のところ聞かれていないです)
話し方に違和感を感じたのは初日だけ。特に不便はありませんでした。
矯正歯科の先生は「問題なくインビザラインで治療できます。きれいに噛み合わせが治りますよ。すぐに始めましょう」という心強い結論でした。
しかし、抜歯のために受診した一般歯科で、”歯の健康”の観点から、矯正治療に関するいろいろなアドバイスと治療を受けることになったのです。
2. 一般歯科でわかったこと
矯正歯科で「歯科医院を紹介しますから、抜歯してきてください」と紹介状を渡され、予約をして出かけました。抜歯さえ済めば、矯正が始まると安易に信じていたのです。
しかし、抜歯のために受診した一般歯科で「抜歯や矯正以前にやることが山ほどある。」という厳しい現実を思い知りました。
2 – 1. 一般歯科で検査を受けて「健康な歯」で矯正をしましょう!
当然ながら紹介状があるからといって歯医者は簡単に抜歯はしてくれません。綿密な検査の結果、みみじろーの場合は、以下の通り問題だらけだったのです。
- 以前神経の治療をした際の歯根管内の充填物が途中で切れている
(放置したまま歯を動かすと切れた先の充填物が置き去りになり、隙間から菌が入る可能性がある) - 子供の頃に治療した詰め物の素材が著しく劣化している
- 治療跡の隙間から虫歯が進んでいる
- 見えにくいところにも小さな虫歯ができている…等々。
インビザライン矯正はアライナーを外せるため、小さな虫歯なら治療と矯正を継続することも可能です。
先生は、矯正と虫歯治療が同時進行できないか一生懸命考えてくれましたが、あまりにも状態が悪すぎました。
「ひとまず全体の治療を終わらせて、健康な状態にしましょう」という結論になり、そこから1年半。根本から虫歯治療をやり直したのです。
虫歯の治療跡がたくさんあるのは、それだけ口内環境がよくないという証。安易に矯正を申し込む前に、一般歯科で綿密な検査を受ける必要があったと反省しています。
2 – 2. 見た目を整えるのは矯正が全て終わってから!
2-1で治療をしたときに、歯根管の治療をやり直すために金属の被せ物を外しました。
治療後、健康保険で金属の被せ物にするか、自費負担でセラミック(白くて目立たない)の被せ物にするかを検討しました。
先生からは、「セラミックを入れるなら、矯正が終わったあとの方がいいでしょう。(矯正で)歯を動かして噛み合わせが合わなかったり隙間ができる可能性もないとは言えません。高いセラミックの被せ物をつくり直すのはもったいないです」とのご意見。
アドバイスに従い、迷わず金属の被せ物を選択しましたが、「噛み合わせが合わない」「隙間ができる」って…なんのために矯正しているのか…。
冴えない表情のみみじろーを見て、先生は慌てて「万一の備えですよ。矯正後のケアはうちでしっかり対応しますから大丈夫!」と励ましてくれました。
今のところ、歯はだいたい並びつつあります。今後の微調整で噛み合わせがどうなるのか…興味と心配は尽きないところです。
2 -3. 矯正をすると「歯根吸収」が起きる!?
一般歯科の先生は、歯列矯正が歯に及ぼす影響をつつみ隠さず教えてくれました。
「矯正をすると、ある程度”歯根吸収”が起きるのは避けられないんですよ」なんですか、歯根吸収って!?
歯を支えている骨(歯槽骨)の中で歯を動かす際に、歯槽骨に刺さっている「歯根」が短くなってしまう現象を指すそうです。
先生、歯根吸収って…歯が抜けやすくなるとかボロボロになるとか、怖い影響があるんでしょうか?
「まあ、ごくわずかに歯根が短くなるだけですね。矯正が終わって安定しすれば問題ありません。この噛み合わせが悪いまま放置するよりも、矯正をした方が長い期間歯の健康を保てますよ。」 ほっ。おどかさないでください。
中高年だから歯根吸収が起きるというわけではなく、矯正をした人にある程度以上の割合で発生するようです。
2 -4. 隠れた親知らずは矯正前に対処しましょう
レントゲンでみると、下側の歯茎の中に埋まっている親知らずが2本。
矯正歯科では指摘されませんでしたが、すべての虫歯治療が終わりに近づいた時に一般歯科の先生から抜歯を勧められました。
親知らずを放置したまま矯正をすると、歯がうまく動かない、矯正後も歯茎の中で親知らずに押されて歯並びが元戻りするリスクがあるそうです。
意を決して、大学病院で両方抜きましたが、思い出したくないほど大変でした。
そのときの様子は、以下の通りです。
>>> 大学病院で親知らずを抜歯する時に起きること(左)
>>> 大学病院で親知らずを抜歯する時に起きること(右)
>>> 親知らず抜歯後の対応(結論)
すべての治療を終えてから着手した矯正は順調に進んでいます。先日、一般歯科の先生からも「きれいに並んできましたね!」とお褒めの言葉をいただきました。
今にして思えば、矯正歯科の先生の話も、一般歯科の先生の話も、同じことを指していたのです。
「お口の状態が健康(未治療の虫歯と歯茎の病気がない)なら、40代の歯列矯正は問題なくできます。歯並びを揃えることは、将来的な歯の健康につながりますよ」
40代ともなれば、虫歯や歯肉炎など気づかないうちにお口のトラブルは増えていくもの。中高年の矯正の一番のリスクは「口内環境」なんだなと実感しました。
だいぶ遠回りをしましたが、オルソパルス(加速装置)のおかげで、急速に遅れを取り戻しているところです。
これからも、矯正歯科と一般歯科、両方のチェックを受けながら健康な歯列矯正を進めていきますよ。